取消しの日から5年を経過しないものを含む。)」との文言が付加さ れた。
この改正の趣旨は,改正前の規定では,法人としての業の許可を 取り消された場合であっても,当該法人を解散し,全く同じ構成員のま ま別法人を設立して新たな許可を取得したり,許可を取り消されて欠格 要件に該当する者が,役員としてではなく実質的に裏から経営の実権を 掌握したりするなど,欠格要件を巧妙に回避する例が見られたことから, 許可を取り消された法人の役員を欠格要件に追加するとともに,いわゆ る「黒幕」規定を設け,法人に対して役員と同等以上の支配力を有する ものと認められる者は,欠格要件の適用にあたって,役員と同様の取扱 とすることにしたものと解される。
このような改正法の理念を実現し,欠格要件の審査を厳格に行うため, 施行規則も改正され「申請, 者が法人である場合において,発行済み株式 総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資の額の100分の 5以上の額に相当する出資をしている者があるときは,当該株主又は者 の氏名又は名称,住所及び当該株主の有する株式の数又は当該者のなし た出資の金額を記載した書類」が許可申請書の添付書類とされ(施行規 則9条の2第2項8号),さらに,平成12年6月13日厚生省令101 号により改正された施行規則においては,上記記載を申請事項そのもの として要求することにした(施行規則9条の2)。
上記のような法及び施行規則の改正の趣旨を受け,平成17年8月1 2日,環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長名での 各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長宛の「行政処分の 指針について(通知)」と題する平成17年8月12日付け通知文書(以 下「平成17年指針」という。)が通知されるまでの間,平成13年指針 のとおり,発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は 出資額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者は,自然人 及び法人の区別をすることなく,法人に対し業務を執行する社員等と同 等以上の支配力を有するものと認められる者に該当する,との行政解釈 (以下「従前行政解釈」という。)がなされてきた。
(イ) 環境省も,平成17年指針を通知するまでは,従前行政解釈に従っ て,各自治体からの相談に応じていたものであり,平成17年4月18 日,被告の職員が,環境省に対し,40パーセントの株式を保有してい る株主が,法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるか否 かに関して相談したところ,40パーセントも有していれば,一般的に は支配力があると考えるのが普通である旨の回答をした。
その際,環境 省は,上記株主が法人か自然人であるかということについて指摘等をし なかった。
(ウ) 横浜市は,E社が60パーセントの株式を有する横浜エコポート株 式会社について,同社が本件B取消処分がなされた平成17年2月21 日以前に廃棄物処理業の許可を受けていたにもかかわらず,その許可を 取り消さなかった。
(エ) しかし,平成15年にいわゆる欠格要件への該当を理由とする取消 処分を義務化する改正がされた後,処理業の許可及び処理施設の設置許 可の取消処分数が激増し産業廃棄物処理業者や経済界などから欠格要件 の在り方及びその運用や,義務化された取消が厳格に過ぎ,規制緩和の 方針に反するのではないかとして,欠格要件の在り方やその運用を見直 すべきではないかといった要望がされたのを受け,政府は,平成17年 6月,学識経験者からなる「欠格要件の在り方検討会」を設けた。
「欠格要件の在り方検討会」は,産業廃棄物処理業者,経済界及び地 方公共団体の意見を踏まえつつ欠格要件の在り方及びその運用について 検討を重ねた結果,いわゆる黒幕条項については,従前,発行済株式総 数の5%以上の株式を保有する株主又は出資額の5%以上の額に相当す る出資をしている者は自然人及び法人の区別をすることなく業務を執行 する社員等と同等以上の支配力を有すると解釈していたが,これを自然 人に限る(法人は除く)こととし,かつ,総合的に判断するのが相当で あるとの意見を取りまとめて報告した。
破産手続
破産手続についても,上記(ア)a,bの理論的根拠が当てはまる。すなわち,破産手続における配当も,個別的執行手続及び滞納処分と同様に債務者の意思に反して行われる。
また,破産手続においても,債権確定手続と執行手続とが分離され,配当においては労働債権であるという実体法上の性質は捨象される。
この点について,被告は,破産手続においては,破産管財人が債権確定の権限を有し,源泉徴収義務の有無を判断することができる旨主張するが,破産手続においても債権確定手続と配当手続とが明確に区別されており,破産手続における配当も債権表に従って配当され,実体法上の権利の消長を配当手続内で反映させることができな
い点で,個別的執行手続と何ら異ならない。
したがって,破産手続における配当について,源泉徴収義務は生じないと解すべきである。
(ウ) 個別的執行手続において債務者は源泉徴収義務を負わないこと(被告の主張に対する反論)
被告は,個別的執行手続において,労働債権に対する配当が行われた場合,債務者(使用者)が源泉徴収義務を負うことを前提として,個別的執行手続と破産手続
とは必ずしも類似していないと主張する。
しかし,個別的執行手続において,換価によって得られた金員は執行機関が管理し,これがそのまま配当されるのであって,債務者(使用者)自身が源泉徴収をすべき原資(源泉)を保有しない以上,債務者が配当に係る源泉徴収義務を負うとするのは背理である。
また,債務者が配当に係る源泉徴収義務を負うとすると,債務者としては,あらかじめ配当金から源泉所得税を差し引くことができない以上,源泉所得税相当額を納付した上で,配当を受けた債権者に対して同額の金員の返還を請求しなければならず,これは,債権者の無資力の危険を国に代わって債務者に負わせることになるから不合理である。
(オ) 上記「欠格要件の在り方検討会」での検討の結果を踏まえ,平成1 7年指針において,法人に対し支配力を有するものと認められる者に該 当する者は自然人に限られるとの行政解釈が示された。
イ前記前提事実及び上記アに認定した事実に照らすと,本件各許可取消処 分がなされた平成17年5月31日の時点においては,実務上,従前行政 解釈に基づいて,欠格要件の審査やいったんされた許可の取消しがされて きたことがうかがわれるところ,仙台市長も環境省から教示を受けた上で, 従前行政解釈に基づいて本件各許可取消処分を行ったものであることが認 められる。
他方,横浜市のように必ずしも従前行政解釈に沿った処分を行 わない自治体も存在したが,平成17年5月31日時点では,本件全証拠 に照らしても,法人に対し支配力を有するものと認められる者は自然人に 限られるとの明確な見解が判例や学説により示されていた事実は認め難い。
このように,ある事項に関する法律解釈につき明確な判例・学説がなく, 実務上の取扱いも分かれている状況においては,一方の見解に立つ行政解 釈が示されている以上,公務員がその行政解釈に従って公務を執行するこ とは理由があるというべきであるから,後に,その執行が違法と判断され た場合であっても,そのことから直ちに当該公務員に故意又は過失があっ たと即断することは相当ではない。
特に,本件の場合,上記行政解釈は, 平成9年法律第85号による改正法の理念を実現し,欠格要件の審査を厳 格に行う必要があるという考え方の下に採られたものであって,法の定め る欠格要件を巧妙に回避する事例が見られたという社会的事実を踏まえた 合理性の裏付けも存在したものであるから,仙台市長が従前行政解釈に従 って本件各許可取消処分を行ったことには相当の理由があったということ ができる。
そして,上記改正法施行後,取消処分を義務化する法改正や取消処分数 の激増という運用実態,産業廃棄物処理業者や経済界などからの意見を踏 まえて平成17年6月から「欠格要件の在り方検討会」が開催され,平成 17年8月12日には,法人に対し支配力を有するものと認められる者は 自然人に限られるとの行政解釈が示されたものの,これはいずれも本件各 許可取消処分を行った平成17年5月31日以降のことであり,仙台市長 が従前行政解釈に従って本件各許可取消処分を行ったことについてはやむ を得ない事情があったといえる。
そのほか本件各許可取消処分にあたって, 仙台市長に故意又は過失があったことを認めるに足りる証拠はない。
以上 のことからすれば,仙台市長が本件各許可取消処分を行うにあたって,故 意又は過失があったと認めることは困難というべきである。
( ) また,原告は,本件各許可4 取消処分は,一定比率以上の株主であれば, 当然に欠格要件の「法人に対し支配力を有するものと認められる者」に該当 するとして行った処分であるから,法で要求される黒幕規定の趣旨に従った 具体的な事情の判断を怠ったものである旨主張するが,前記前提事実のとお り,本件各許可取消処分がなされた当時,E社は原告の株式のうち40パー セントを有しており,従前行政解釈に示された5パーセント以上という基準 を大幅に超えていたこと,仙台市長は,環境省から,40パーセントも有し ていれば一般的には支配力があると考えるのが普通である旨の技術的助言を 得た上で本件各許可取消処分を行ったものであること,法は欠格要件への該 当を理由とする取消処分を義務化しており,地方自治体の裁量判断の余地を 認めていないこと等の事情にかんがみれば,本件全証拠に照らしても,仙台 市長が法で要求される黒幕規定の趣旨に従った具体的な事情の判断を怠った ものと認め難いし,その判断にあたって仙台市長に故意又は過失があったと 認めることも困難というべきである。
したがって,この点に関する原告の主 張は採用できない。
(5) 以上のとおりであるから,争点1に関する原告の主張には理由がない。
2 したがって,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求は理由が ないから棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用 して,主文のとおり判決する。
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